歯科医師みんなが助け合い、成長できる場を!「歯科医師共生会」のみなさんにお話を伺ってきました【その2】


医院経営やサービス力向上のためのコミュニティをつくりたかった

 

―ではまずはじめに…、歯科医師共生会ってどういう集まりなんですか?

 

 

 

都橋「そもそものキッカケは、かねてから地方の歯科医師(以下、医師)は都心の医師と比べて得られる情報が少ない!と感じていたことです。

 

 

どういった工夫をすれば患者さんの満足度を上げられるか、とか。こうやって上手くいった、こうしたら失敗した、みたいなノウハウって、地方だと本当に得られないんですよ。

 

 

それを学生時代の友人でもある柚木﨑と話している中で、『都心でもキチンとした教育や指導ができていない』『そもそも教育に関する基準がない』、さらに『開業したあとの経営のノウハウだって何もないよね』というところまで広がって。」

 

 

柚木﨑「だったら、医師みんながフラットに成功例も失敗例も情報交換して、地域・学年・学閥・性別もぜんぶボーダーレスで、しかもみんなで機材とかを共同で購入できる互助会みたいなコミュニティがあればいいじゃん!って話になったんです。」

 

 

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歯科医師共生会の代表を務める瑞星歯科医院の院長 都橋 一仁さん。
この日はわざわざ鳥取から来てくださいました!

 

ユルめのサークル活動みたいな感じから始まって…(笑)

―会のメンバー構成について教えてください

 

 

 

都橋「代表はわたしが務めています。副代表はちょっと今日は来られなかったんですが、丸山という者がおります。

 

 

そして顧問に柚木﨑、事務局として松木、といったメンバー構成です。それから経営に関してのアドバイザーのような立ち位置で、これまで会社経営支援やマーケティング事業を展開されてきた横川さんにも外部から支援してもらってます。」

 

 

松木「私は事務局として、会への参加者・賛同者を集めるための各種取り組みの実務を請け負っています。問い合わせ対応やSNS対応などいろいろですね」

 

 

都橋「ふだん私は鳥取にいるんですが、会の活動のために松木といっしょにフットワーク軽く全国を飛び回っています。SNS時代とはいえ、やっぱり対面も重要だと思いますので。昨日は神戸、今日は東京、次は札幌…という感じです(笑)。」

 

 

―会員はどれくらいいるんですか?

 

 

 

柚木﨑「今は入会っていう考え方自体をけっこうユルくしてるんです。会費も頂いていないですし。だからハッキリした人数は言いにくいところもあるんですが、だいたい80~100人ぐらい?」

 

 

横川「そうですね、そのくらい。勉強会や懇親会を重ねることで会の意義を高めていって、今よりもっとみんなが必要性を感じてくれるコミュニティになってきた段階で、次のステップへ行けたらいいんだろうなと。」

 

 

柚木﨑「発足が今年のアタマくらいですからね。で、実際に活動として動き出してきたな~っていうのが、8月ごろ。ユルめのサークル活動みたいな感じから始まってます(笑)。まだまだやらなきゃならないことがいっぱいありますから、ゆっくりじっくり取り組んでいこうと思ってます」

 

 

横川「会員を増やすということについても、考えなきゃいけないところがあって。というのは、歯科医師業界って学年の上下関係がけっこう色濃い世界だと思うんです。だからこの会への参加も、先輩に誘われたから(仕方なく)来ました…っていう感じだと、お互い良くないし。」

 

 

柚木﨑「そういう業界の性格はやっぱり変えたいよね。たとえば後輩が先輩を誘うような雰囲気づくりとかができてくるといいと思っていて、それもあって会員はだいたい40歳ぐらい以下ということにしています。厳密に決めてるわけではないですが。」

 

 

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左は事務局を務める有限会社アセットランス取締役の松木 貴史さん。二人とも笑顔がステキ!

 

―会の活動について少し深く聞かせてください。

 

 

 

都橋「まずは勉強会・懇親会です。ほぼ毎週、どこかで開催しています。

 

 

これは地方に限った話ではないんですが、みんな情報が得られない中で開業し、手探りで経営をやってます。だからやはりずっと続けるうちに医師自身の労働環境が悪化したり、サービスが低下したりしていくわけです。その状況を良くしたい!という医師どうしの情報交流会ですね。」

 

 

柚木﨑「その性格上、かんたんな決まり事みたいなのもあって、『医学論や技術論について議論することはやめよう』ってことにしてるんです。ケンカになっちゃうから(笑)。」

 

 

都橋「あくまで『医院経営力』や『歯科サービス力』を高め合うための場ということにしています。」

 

 

柚木﨑「僕は親から医院経営を引き継いだとき、お金のことで本っ当に苦労した。経営状態をなんとか良くしようと、必死に工夫や改善を繰り返してきたんです。その経験があって、経営者視点でマネジメントできるようになった。この視点からみんなにアドバイスしたり、考え方を伝えたりしています。

 

 

業界では経営=金儲けというか、医師が金儲けを口にすることが倫理的にタブーであるという雰囲気みたいなものがあって。ほかの業界では当たり前にやっていることに対して目を向けずクローズになっているので、それを変えたいですね。」

 

 

横川「本来的には顧客満足度を上げ続けた結果として収益につながるわけですからね。歯科医師って、独立開業される方が非常に多いんですが、そうなると『医師』でありながら『経営者』にもなるわけですよね。

 

他の業界なら独立するって大変なことだし、ごく少数で。だけど、業界全体としてその意識が希薄だと感じています。

 

もちろんのことなんですが、『医師』としての勉強はしてきたけど『経営者』としての勉強をしてこられた方はなかなか少ないように思います。

 

それもあって、競合が増えるととにかく集客を強化してパイを奪う、というような発想になってしまいがちだとも思います。そういう側面もあるのはもちろん否定しませんが、本当はサービスの発達している他業界とも戦わなければならないのに、です。

 

 

共生会を、治療だけでなくたとえばサービスを強化するとか、美容という視点でエステのようなマーケティングをやってみるとか、これまでなかった視点が身につくための機会としてほしいですね。そうすることで、患者さんを『集める』ではなく『育てる』という発想にシフトしていくことができます。

 

 

勉強会や懇親会を通じて、こういう考え方を感じてもらえたらと考えています。」

 

 

柚木﨑「まあ、いざ実践すると業界からは異端と言われてしまうんですが(笑)。僕の医院も独自性を重視した経営方針を立ててるんですが、おかげで歯科医師業界からは『ガラパゴス化』しちゃってますね(笑)」

 

 

共生会インタビュー【その3】へつづく。


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