メンタル疾患から生じる悩みや困難をなくしたい―株式会社Leaps Japan代表 片岡 真由美さんインタビュー【後編】

モットーは『メンタル疾患を特別な病気にしない』こと
―片岡さんはなぜご自身で事業を起こし、うつ病対策アプリを提供するに至ったのでしょうか?
片岡「そもそも、私はメンタル疾患の分野は悩んでいる方が多い割には提供されているサービスが少ないと感じています。だからその悩んでいる方のお役に立って喜んでいただけるサービスを作っていきたいと考えてきました。
私が以前勤めていた企業では、その会社の治療プログラムで回復された元患者である方を正規雇用していました。彼(彼女)らは仕事で非常に優れたパフォーマンスを発揮していて、なんだかそれを見ていると、病気を経験した人達が就労に対してハンディキャップを負っている今の状況は社会的に見て大きな損失だと強く感じるようになったのです。
そんな現状に対して、病気をされた方々に治療プログラムを提供し、また社会の中でイキイキと活躍できるお手伝いをすることができた前職での仕事は、私にとって大きな財産になりました。
それがある時、その企業が事業を大きく転換することになったのです。私はこれまでと同じように病気の方の回復をサポートする仕事を続けることが難しくなりました。
これが転機でしたね。私は自分が価値があると思えることをやるために、自ら事業を立ち上げようと決めたんです。
さまざまな角度から事業モデルを検討した結果、『家族のためのうつ病対策アプリ提供』という今のかたちに行きついたというわけです。」
試行錯誤を経てリリースされた『PINT』
―今後も『PINT』から提供される情報は増えていくのだろうと思いますが、その先にはどのようなビジョンを描かれていますか? また、片岡さんご自身はLeaps Japanをどのような会社に育てていこうと考えられていますか?
片岡「今はおっしゃるとおり、『PINT』の情報量を増やしているところです。今年はユーザーからの意見も汲み取りつつ、より実用性のあるアプリに改良していこうということを目下の目標としていますね。
その先のビジョンについてですが、私は自分の事業を通じて、メンタル疾患から生じる悩みや生活上の困難をなくしたいと考えています。そのためには、予防や早期対応はもちろん、回復後の社会復帰、再発予防までカバーする必要があります。サービス開発を通じてそれらの問題を解決に導いていきたいと考えています。
Leaps Japanのモットーは『メンタル疾患を特別な病気にしない』ということ。私の周りには病気になった事を理由に、それまでに実績があるにもかかわらず望む仕事に付けなかったり、そもそも仕事に就く事が難しいという困難に直面している方が多くいらっしゃいます。メンタル疾患を理由にキャリアを阻まれるのは先進国では日本だけという話を聞いたこともあります。私は以前の会社の経験から、この問題は労働時間や配置を含むマネジメントで解決できると考えており、その第一歩としてうつ病の経験がある方にコンテンツ制作などを手掛けてもらうという取り組みも始めています。
これから数年後、Leaps Japanのオフィスで我々の理念に賛同してくれる人たちと一緒に仕事をし、みんなが自分の人生を充実させている・・・それが私の夢です。それを実現できたら、それこそ自分が事業を立ち上げた意味があったんだと思えるんじゃないかなと。そんなふうに考えています。」
家族のためのうつ病対策アプリ『PINT』
状況に応じて必要な知識や『そのとき何をすべきか』の情報が提供されるスマートフォン用アプリ。
◆対応OS:
Android・iOS(バージョンはホームページよりご確認ください)
◆価格:
2,500円+税 (2015年1月時点)
◆購入方法・対応機種等:
ホームページ(http://leapsjapan.com/)よりご確認ください。
また、うつ病の当事者やご家族の体験談、よくある質問・疑問への専門家からのアドバイスを、『PINT STORY(http://leapsjapan.com/story/)』として公開しています。