ゲームで楽しいリハビリを! RehaMed合同会社代表 佐藤啓壮さんにインタビュー【前編】

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こんにちは、メディウェルギャラクシーの安部です。

 

 

 

 

 

今回は、宮城でリハビリ特化型デイサービスを運営する傍ら、高齢者の介護予防に効果的なソフトウェアの開発を行っているRehaMed(リハメッド)合同会社 代表の佐藤啓壮さんをインタビューしました。

 

 

 

 

 

 

東北地方で起きた東日本大震災から、もうすぐ4年。震災後、高齢者の介護申請が急増したという現実を目の当たりにした佐藤さんがスタートした取り組みとは――

 

 

 

 

東日本大震災を契機に開発を決意。リハビリ支援ゲームソフト『レクリハ』

 

 

 

 

 

佐藤さんはもともと大学院の博士課程に在籍し、リハビリに関する研究を行っていました。その研究の過程として、高齢者向けにゲームで楽しく運動を続けられるリハビリ支援ソフトウェア『レクリハ』の開発を決意したといいます。

 

 

 

 

 

 

佐藤「大学では、もともとリハビリ学科にいたこともあって高齢者の運動機能、いわゆる運動パフォーマンスを維持・向上させる手法をいかにして低コストで全国に広げるか・・・ということを主眼に研究に取り組んでいました。

 

 

 

ただ『レクリハ』を開発することになったのは、スタッフの負担を増やすことなく、高齢者の方々がリハビリを続けられるような方法を生み出す必要があったからです。

 

 

 

 

 

 

その契機となったのが、2011年3月に発生した東日本大震災でした。

 

 

 

 

 

 

被災後、仮設住宅などでの高齢者の運動量減少によって、介護申請が急増しました。私は教員でしたので、学生を連れて運動指導、健康支援を行っていたのですが、時間が経つにつれ、学生も含めて普段の生活に戻らなければなりません。同じ水準で継続的に支援を続けることが難しくなってきたのです。

 

 

 

 

 

 

そんな状況の中、ICT(情報処理や通信などの技術)を使えば少ない人手でも運動指導ができるのではないか、というアイデアが出まして。当時はMicrosoft Kinectセンサーの開発用プログラムがリリースされた頃で、『実現できるな』と。こうして『レクリハ』の開発がスタートしました。」

 

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『レクリハ』の動作画面。画面上の紙風船を落とさないように拾い続ける。上半身、特に肩より上の部位の運動になり、正しい姿勢の維持につながる。

 

 

 

 

『レクリハ』を使う3つのメリット

 

 

 

 

――今は佐藤さんが代表を務めるリハビリ特化型デイサービス『らぐなった』にて、『レクリハ』のプロトタイプ版を運用していますね。実際にゲームを使うことによって、利用者やスタッフにとってどのようなメリットが生まれるのでしょうか?

 

 

 

 

介護予防・レクリエーション運動支援ソフトウェア「レクリハ」の紹介ビデオ

 

 

 

 

 

 

佐藤「高齢者にとって運動を行うことは、介護の観点から非常に重要なことです。

 

 

 

 

 

 

しかし、レベルの高い運動指導者はコストが掛かるために、自治体や施設などではなかなか高齢者の運動指導の頻度を高めることができません。

 

 

 

 

 

 

介護施設でも、そもそも介護スタッフが運動指導者ではないケースが多く、スタッフに負担がかかってしまう現実があります。

 

 

 

 

 

 

また、運動はやはり楽しくなければ続かない、ですよね。至極簡単なことですが、それを実現するには指導者の資質も大きく関わってきます。誰しもが、楽しい運動を指導できるわけではありませんから。

 

 

 

 

 

 

『レクリハ』があれば、介護スタッフたちに負担をかけずに一定の質を維持した楽しい運動指導ができると確信したのです。

 

 

 

 

 

 

リハビリ特化型デイサービス『らぐなった』では、実際の利用者様がソフトを使用し、いただいたご意見からシステムの改善やコンテンツの追加などを同施設内で行っています。すべての行程を1施設内で完結できるR&D(Research & Development)拠点として、自ら立ち上げました。

 

 

 

 

 

 

実際に『レクリハ』開発のきっかけとなった、研究用の初期バージョンを使用した地域在住高齢者の介入研究で得られた利点は、以下の3点があります。

 

 

【1】筋力、平衡機能、さらに歩く際の歩容が改善。

【2】運動の専門家ではない学生レベルでも操作可能であることから、スタッフの負担が軽減。

【3】ゲームの脱落者が少なく、運動の継続性が高い。

 

 

 

 

 

 

この成果をまとめた博士論文は、アメリカの『Games for Healthジャーナル』に掲載されることが決まっています。」

 

 

後編へ続く

 

 

 


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