人と情報をつなぐプラットフォームとなる―株式会社ヒューマン・ヘルスケア・システム代表・松井直樹氏インタビュー【前編】

1991年の創業以来、医療・介護に関わる業界関係者向けにセミナーや書籍、雑誌を使って情報提供を続ける株式会社ヒューマン・ヘルスケア・システム。
メディウェルギャラクシーでも同社主催セミナーの様子はたびたびレポートしてきました。
・イギリスで増える認知症専門看護師「アドミラル・ナース」。
その取り組みと最新情報 セミナーレポート
松井「もともと私は介護福祉系のメディアで編集をやっていたんですね。そこから独立して、経営面から職員のマネジメントなど、施設運営に関わる総合的なコンサルティングを中心に事業を立ち上げました。
当時はまだ介護保険制度、介護報酬のない時代ということもあり、以前から培っていた業界に関する知識や経験が施設運営をされる事業者の方々にとって役立てられる機会に恵まれていたと言えます。
それから月日が流れ、急速に進む高齢化に対して従来通りの取り組みだけでは業界の皆様の想いに対応できないという考えから、今はセミナー開催・書籍発刊・定期誌『シニア・コミュニティ』の刊行を主な事業として運営しています。」
大切なのは『人』と『情報』。医療と介護の未来を築く、同社の理念
――セミナーはかなりの頻度で開催されていますね。
松井「2か月に1度くらいのペースで開催しており、幅広くテーマを選んでいます。
制度に関する最新情報や経営への影響などについてのセミナーはもちろん人気がありますが、それだけではありません。我々が企画している海外視察ツアーを通じて得られた現地の制度・価値観・手法・教育などの情報を公開することもあり、そちらも大変好評をいただいています。
セミナーには業界に携わる方々が数多く来られ、参加者同士の交流も盛んです。新しい情報や新しいつながりを求められている方には是非、積極的に参加していただきたいと考えています。」
――セミナーを精力的に行う一方で、定期誌『シニア・コミュニティ』誌(創刊時の誌名はミズ・コミュニティ)や介護福祉関連書籍も刊行されていますね。
松井「シニア・コミュニティ誌が世に出たのは平成8年になりますから、もう20年近くが経つことになりますね。
同誌は業界の経営者や従事者に向けてタイムリーな情報を2か月に1度、発信しています。
地域に貢献し、人々の支えとなりながら順調な経営を持続している法人や、チャレンジングな取り組みを行い医療や介護の新しい扉を開こうとしている法人など、最新かつ有益な事例を掲載しております。
ただ我々としては、セミナーも雑誌も書籍も、形は違えど同じことをやっているだけなのです。」
――同じというのは?
松井「今の超高齢社会、私たちが私たち自身の未来を築いていくために、一番大切なのは何だと思いますか?
私どもはそれを『人』と『情報』である、と考えています。
医療も介護も『人』あっての行いです。いくらお金があっても、どんな最新の設備を揃えても、人なくしては成り立たない。
そしてその『人』たちが『情報』を手にすることで、より良い医療・介護、より良い地域形成、より良い共生社会の実現に結びついていくという考えです。
それは何も医療・介護事業者だけの話ではない。今後、医療や介護の形は地域包括ケアシステムの考え方の元に、地域によって支えられる面が大きくなっていく。そうなれば地域の住民一人ひとりがこのシステムを支える役割を担うことになりますから。
私どもは『人』に『情報』届けることで、社会のあるべき姿の実現に貢献したい。それが私どもの根幹にある想いなのです。
今はセミナー・書籍・そしてシニア・コミュニティ誌を活用してそれを実行している。しかし、手段が異なるだけで理念は同じことなのです。」