医療事故を未然に防ぐ。「ヒヤリ・ハット」事例を上手に組織で共有する方法

医療機関のヒヤリハット

 

 

医療機関におけるヒヤリ・ハット事例とは、

『患者に被害を及ぼすことはなかったが、日常診療の現場で、“ヒヤリ”としたり、“ハッ”とした経験を有する事例をいう。具体的には、ある医療行為が、(1)患者には実施されなかったが、仮に実施されたとすれば、何らかの被害が予測される場合、(2)患者には実施されたが、結果として患者に被害を及ぼすに至らなかった場合』のことを指す。(厚生労働省ホームページより)

 

 

ヒヤリ・ハット事例は、当該事例を体験した医療従事者が、その概要をヒヤリ・ハット体験報告(参考例は別添3のとおり。)に記載し、翌日までに、医療安全推進担当者に報告することとして、医療安全管理指針において定められている。

 

 

ヒヤリ・ハット体験報告フォーマット記入例

 

また、当サイトでも過去にインタビューした日本医療機能評価機構が全国からヒヤリ・ハット事例を収集しており、当機構の報告フォーマットなども活用できるだろう。

 

 

しかし一方で、発生したヒヤリ・ハット事例を報告して集約するまでのフローは確立していても、組織内で効果的に共有できていないと感じられている方も多いのではないだろうか。

 

 

ここでは、ヒヤリ・ハットを単に報告するだけでなく本来の目的である「自分の現場での医療事故発生を未然に防ぐこと」に対するアナログ面・デジタル面でのアプローチを紹介したい。

 

 

アナログ・デジタル両面から見たヒヤリ・ハット事例の効果的な共有方法

 

アナログ面での最も基本的な方法は掲示・回覧だろう。

 

 

現場への掲示や定期的な回覧は、誰もが意識せずに目にすることができ、情報共有に一定の効果があるといえる。

 

 

しかし、せっかく掲示物を用意しても、読みづらいものや分かりにくいものでは十分な共有はできない。例えば文字ばかりの掲示物では実際の状況をビジュアルでイメージできず、読み手の意識に訴えることができない。それでは、目的を果たしたとは言えない。

 

 

掲示物や回覧資料にマンガを活用して読み手が感情移入できるような工夫をする。また、回覧資料はバインダーでも問題ないが、リングノート形式にしてみるのもいい。マンガをストーリー仕立ての続き物(連載)にすることで、後からページをどんどん追加していく。読み手の関心を継続的に惹きつけることが可能なので、医療事故防止への意識浸透には非常に効果がある。

 

 

大きな施設になればなるほど、共有が困難になってくる。掲示や回覧だけでは浸透度合いを測ることが難しい。

 

 

その規模ではアナログでの対応だけでなく簡易アプリの導入が効果的といえる。

 

 

アプリ管理者がヒヤリ・ハット事例を定期的にユーザーに送信する。受診したユーザーはそれを開封し、閲覧したという連絡を管理者に返す。もちろん送信する形式は文字にこだわらず、先ほどのマンガ活用も効果的だろう。

 

 

 

アプリは開発自由度が高いため、単に通知だけではなく事例をクイズ形式で送信するなど、アイデア次第で従業員の意識浸透を大きく促進できる可能性を持つ。

 

 

また、デジタルの強みとして、誰が閲覧した・していないという状況を正確に把握できるということがある。ユーザーを氏名ではなくIDで管理すれば、個人情報保護の観点からもリスクなく運用可能。閲覧頻度の低いユーザーには別途指導するなど、状況に応じてより細かな対応を取ることができるようになる。

 

 

一つの医療事故が医療施設の経営を根幹から揺るがしてしまう事態に発展することも、無いとは言えない。未然防止のため適切な対応を検討したい。

 

 

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