介護業界初心者向け:介護・福祉の資格まとめ【前編】

介護や福祉に関わる資格は、誰もが受けられる間口の広いものから専門性の高いものまで多くの種類があります。こうした資格制度は厚労省の描くキャリアパスに基づいて設計されており、正しく理解しておくことで自分のキャリアビジョンをより具体的・効率的に描くことができます。
ぜひ参考にしてみてください。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は介護の入門編ともいえる資格であり、最も受講者数の多い資格です。最短1か月程度の講座の受講し、修了試験に合格することで取得が可能です。試験の内容は基本的には講座の内容から出題されるため、しっかりと復習ができていれば合格難度は高くはありません。
受講費用は約60,000円前後となりますが、受講料は学校によって変動があるため(教室の立地や講座の受講形態などが学校によって異なることが理由です)一括資料請求などで確認し、自分に合った学校を選ぶとよいでしょう。
無資格の場合と比べて給与やキャリアアップにもプラスになりますので、「介護の仕事をしようと思っているけど就職活動はまだ先」という方や「介護職として経験も増えてきたので次のステップに進みたい」という方はぜひ検討してみてください。
介護職員実務者研修
介護職員実務者研修は初任者研修のひとつ上にあたり、国家資格である「介護福祉士」になるための通過点となる資格です。
というのは、平成28年度第29回介護福祉士国家試験から介護福祉士の資格取得には【3年以上の実務経験】に加え【実務者研修の修了】という要件が設けられたためです。
「サービス提供責任者」として認められるため業界内でのネームバリューが高くなることや、それによる給与のプラスも当然考えられます。もちろん、得られる知識もより専門的・実務的な内容になり(例:喀痰吸引等もできるようになります)、より仕事の幅が広がることになります。
とはいえカリキュラムは450時間、費用もだいたい15~20万円ほどと、決して容易な道ではありません。通信講座や夜間・週末など、無理なく続けられるプランを検討し、チャレンジしてみましょう。また、教育機関によっては受講料の一部が教育訓練給付金として支給される場合もあります。
介護福祉士
介護福祉士とは、社会福祉士、精神保健福祉士と並ぶ、福祉系三大国家資格の一つです。ケアワーカーと呼ばれることもあります。
受験費用自体は10,000円ほどですが、初任者研修・実務者研修と異なり、受験するために【3年以上の実務経験】が求められます。さらに平成28年度第29回介護福祉士国家試験からは【実務者研修の修了】も要件に追加されました。
受験には下記の方法があります。
1)実務に3年以上携わる
2)福祉系高校を卒業する
3)各種養成施設(介護福祉士を養成する専門学校、短期大学、大学)の修了や認定を受ける
2014年度合格率は61%と、決して容易には超えられないハードルですが、毎年平均14万人前後が受験しており、今後も一定のニーズがある状態が続くものと思われます。
ケアマネジャー
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護対象者のケアプランを立案・運用して継続的なメンテナンスを行うことが主な業務です。介護対象者とその家族が、介護施設やサービス提供者ときちんと連携できるようその橋渡しをする重要な役割を担っています。
介護福祉士とは異なり国家資格ではありませんが、介護サービス運営において不可欠な連携業務を担う公的資格として取り扱われています。
ケアマネジャーになるためには5年以上の実務経験が求められます。さらに、保険・福祉・医療分野の国家資格・・・介護福祉士をはじめ社会福祉士、看護師、理学療法士、作業療法士、栄養士、管理栄養士、保健師、精神保健福祉士・・・いずれかを取得している必要があります。試験に合格した後に介護支援専門員実務研修を受講し修了することで、資格を取得することができます。
保険・福祉・医療分野の国家資格というと非常に広範囲ですが、実務は介護の現場に直接かかわるケアプランの立案です。上記の資格の中でもやはり密接な関係をもつ介護福祉士を取得してから臨むのが理想的といえます。
地域包括ケアシステムの推進によりケアマネジャーの存在感はより大きくなっています。今後より深刻化する超高齢化、そしてそれに伴う介護業界の発展の中で、ケアマネージャーの業務はより多角化していきます。ケアマネージャー全体の能力の底上げ(標準化)だけでなく、一人ひとりが自分の強みを見つけて伸ばしていくことも求められていくでしょう。
後編へ続きます