介護業界初心者向け:介護・福祉の資格まとめ【後編】

「介護業界初心者向け:介護・福祉の資格まとめ【前編】」に続き、介護や福祉に関わる資格にはどんなものがあるのかを紹介していきます。介護業界でのキャリア形成を検討されている方は参考にしてみてください。
社会福祉士
社会福祉士は、医療・福祉に関わる相談援助業務を中心に担う専門職で、ソーシャルワーカーと呼ばれています。介護福祉士、精神保健福祉士と並び三福祉士と称されていますが、特に介護福祉士が介護実務に特化している一方で、社会福祉士は相談援助業務のスペシャリスト。相談援助業務自体には社会福祉士の資格は必要ありませんが、この資格が利用者や業界関係者に対して与えられる信頼感は大きなものがあります。
介護福祉士が介護実務のスペシャリストであれば、社会福祉士は介護計画や相談、社会復帰や退院後のケアプランを作成する相談援助のスペシャリストであると言えます。
社会福祉士の合格率は30%未満と、かなりの難関であるといえます。社会的なニーズもさらに高まりを見せる中で登録者数は16万人を超える一方、毎年の合格者数は伸び悩んでいるのが現状です。
受験資格は幅広く、たとえば所定の相談援助に関わる4年以上の実務経験+養成施設(社会福祉士を養成する専門学校、短期大学、大学)の卒業や、福祉系の4年生大学で指定科目を修了することなどがあります。
精神保健福祉士
精神保健福祉士は社会福祉士、介護福祉士とともに三福祉士と称され、精神的な障がいをもつ人に対して相談援助等の業務を行う専門家としての国家資格です。精神医学・精神科ソーシャルワーカー(PSW)とも呼ばれます。
精神保健福祉士の業務は「介護」との距離が他の資格に比べてやや遠い印象ですが、実際には精神分野に限らず社会福祉士と同じ相談援助業務を行うことも多く、求められる業務範囲は多岐に渡ります。
資格取得ルートは多様で、大学等での指定科目の修了や実務経験、また養成施設での講座修了などがあります。
理学療法士
理学療法士は、身体の機能回復のためのリハビリなどをサポートする専門家です。「立つ」「座る」「歩く」「寝る」などの生活に不可欠な基本動作機能を取り戻すための支援を行っています。活躍の場は介護施設に限らず、病院などの医療施設でもその専門性を活かすことができます。
受験には養成施設で3年以上の教育を受ける必要があります。
作業療法士
作業療法士は体を自由に動かし生活ができるよう、理学療法士がサポートする基本動作に加えてその応用・・・つまり「着替え」「入浴」「食事」「移動」「料理」などのバリエーション動作が行えるように支援する専門家です。
介護における高齢者の自立性が重要視されている昨今、「自分のことを自分でやる」ために必要な動作機能を回復させるために、作業療法士の役割は理学療法士と同様注目度が高まっています。
介護事務
介護事務とは、主に福祉サービスの費用を算定する業務に役立つ資格です。
介護保険、レセプト作成、介護点数の計算などを学習し、講座の修了によって資格取得ができます。
講座の受講期間が短く、通信講座だけでも取得可能。試験もないためハードルの低い資格といえます。一方で、この資格取得がそのまま就職やキャリアアップに対して強い武器になるわけではないという点は認識しておく必要があります。
福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員は、介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所に2名以上の配置が義務付けられている専門職です。福祉用品のレンタルやアドバイス、販売業務が主となります。
短期間の受講で取得できるため比較的容易な資格ですが、介護事務と同様に、この資格単体での就職やキャリアアップは難しいと考えていいでしょう。
【番外編】認定介護福祉士(仮称)
認定介護福祉士は、今後導入が検討されている新たな資格で、介護福祉士の上にあたる位置づけとなります。
認定介護福祉士の業務は、現場でのエキスパートである介護福祉士たちを育成・指導することや、現場の介護チームをマネジメントしていくことになると考えられます。
また、認定介護福祉士になるための要件は7~8年以上の実務経験、介護チームのリーダーとしての実務経験、施設と在宅両方での介護経験などが検討されています。
現段階では導入時期は未定。2025年を区切りに、より深刻化する超高齢社会を前に国としてどのような制度を設計するのか、今後の動向が注目されています。