NPO法人「地域精神保健福祉機構コンボ」インタビュー【その2】

コンボのホームページ。『こころの元気+』のほか、主催イベントの告知など頻繁に更新されている。

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月刊誌「メンタルヘルスマガジン こころの元気+(プラス)」創刊

 

―設立後わずか2か月ほどで、コンボの看板誌である『こころの元気+』を創刊したと。かなりスピーディだと思うのですが、コンセプトはすでに固まっていたんですか?

 

 

丹羽「コンボ設立当初から『雑誌をやりたい!』という想いはありました。コンセプトはすでに『リカバリー』という柱がありますから、それをベースに企画を作っていきましたね。」

 

 

・メンタルヘルスマガジン こころの元気+(プラス)
精神疾患をもつ当事者やその家族に向けて情報を発信している月刊誌。当事者自身がモデルとなっている表紙や、「リカバリー」の考え方に基づいた特集・連載コーナーなど、ユニークな誌面で好評を博し、現在は創刊から8年目を迎えようとしている。
 

 

 

―創刊にあたって苦労したことなど、ありますか?

 

 

 

丹羽「1つ目は、雑誌タイトルです。『メンタルヘルスマガジン』という枕詞は入れよう、と決めていたんですが、メインになる部分で相当悩みました。100個以上の案を出したんですよ、ホントなかなか決まらなくて。その中の1つに『こころの元気』というのがあったんです。

 

 

で、みんなで『コレいいんじゃない?』っていう感じでほぼ決まりかけてたところで、共同代表の大島が『なんか物足りないな~』と。『もうひとつ、何かプラスが欲しいよね』と言われたんですが、その言葉にピンときて。

 

 

『じゃあこころの元気+(プラス)ってどうですか!?』となったんです。

 

 

もちろん、思いつきだけで決まったわけではありませんよ(笑)。このプラスという言葉が持つイメージが私たちの考え方にピッタリだったんです。」

 

 

―それで『メンタルヘルスマガジン こころの元気+(プラス)』に決まったわけですね。

 

 

丹羽「そうです。かなり時間をかけてたどり着きました。

 

 

…でも、タイトル以上に苦労したのが、表紙でした。」

 

 

 

―あ、あの当事者の方がモデルになっている表紙ですね!

 

 

 

表紙は毎号、当事者から読者モデルを募集。創刊以来、このスタイルは一貫している。
表紙は毎号、当事者から読者モデルを募集。創刊以来、このスタイルは一貫している。

 

丹羽「はい。最初は当事者の描いたイラストなどを検討していました。ほかに、美しい自然の風景写真だとか…。よくありますよね?

 

 

でもどれも納得できなくて。たとえばモノを扱う雑誌なら、表紙はモノの写真でいいじゃないですか。ウチは人を扱う雑誌だからモデルかな、と思ったんですけど、タレントを使う予算もないし、使ったとしても必然性がないというか。

 

 

それがある日、たまたま本屋で雑誌をめくってたら、巻末に『読者モデル募集!』という広告があったんです。それを見た瞬間にバチッとハマりました、『これだ!』って感じで。

 

 

で、周りの企画メンバーにも聞いてみたら、満場一致で決まったんです。」

 

 

―当事者がモデルとして表紙に出るなんてすごく斬新だと思うんですが、不安はありませんでしたか。

 

 

丹羽「ふつうに考えると、当事者たちは表に出たがらないんじゃないか、と。自分が当事者であることをわざわざPRする人はいないんじゃないかと思うんですけど。我々はそう思わなかったんです。

 

 

その頃、時代の流れとして当事者がどんどん前に出ていく当事者の時代になりつつあったんですね。もっと昔だったら、この表紙案はGOが出なかったかもしれません。そのときは、当事者の時代が来つつあるな、という空気をみんなが肌で感じていたんです。」

 

 

 

―時代の潮流を読んで決断したわけですね。

 

 

丹羽「それだけでなく、モデルとなった当事者にとっても大きな自信になると思ったんです。コンボの事務所は千葉にあるんですが、撮影スタジオは絶対に青山にしよう、と。青山のスタジオでメイクや服装をきちんとして、プロのカメラマンに撮ってもらう。一生モノの思い出ですよね。」

 

 

―それを見た他の当事者も『私もモデルやりたい!』って思ってくれますよね。すごく良い影響だと思います。

 

 

丹羽「そうですね。創刊以来ずっと、たくさんのご応募をいただいてます。」

 

今だから言える創刊秘話!

 

丹羽「あとは、雑誌を発刊するまでの過程で、ちょっとした秘話があるんです。

 

 

『こころの元気+』の印刷は、長年の付き合いがある印刷会社さんにお願いしたいと思っていました。その印刷会社さんには『他の会社には見積を取らない。よろしくお願いします』と伝えたんですね。すると、当時の部長さんがこう言ってくださったんです。
『やりましょう。創刊号は1000部でも10000部でも、無料でやらせてください。』と。

 

 

私も前身団体の解散などの辛い時期から立ち直って、さあこれからだという想いでいたものですから、もう、お互い涙を流しながら話をして…。」

 

 

―そんな熱いエピソードがあったんですね。

 

 

丹羽「本当に多くの方々のご協力があって、これまでずっと発行してこれたんだと思っています。」

 

 


コンボインタビュー【その3】へつづく。


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