医療と福祉を合わせたカタチ…訪問歯科を進める医療法人社団 樹正会理事長 丸山正記先生インタビュー

丸山先生p01

 

 

こんにちは! 医療・福祉の”熱い”情報発信ステーション「メディウェルギャラクシー」編集長の安部です。

 

 

今回はより良い歯科医療サービスを求め医療法人社団 樹正会を設立した、理事長の丸山正記さんにお話を伺いました。

 

自宅や施設に訪問して診療する。訪問歯科診療という考え方

 

 

―今、訪問歯科診療というサービスを進められているということなんですが、具体的にはどのようなサービスなんですか?

 

丸山「その名のとおり、通院が困難な方のお住まいに伺って、入れ歯や虫歯治療などの一般的な歯科診療および口腔ケアなどを行います。

 

 

特にこの口腔ケアは患者さんのQOL(生活の質)を上げるのみならず、要介護者の死因一位といわれている誤嚥性肺炎の予防に大きな効果があるといわれています。

 

 

現在、当クリニックでは、外来診療と訪問診療を並行して行っておりますが、今後ニーズの増加が予想されますので訪問診療の割合を増やしていく予定です。」

 

 

―あまり耳にしたことがないのですが、まだ日本ではそれほど普及していないということなんでしょうか。

 

 

丸山「そうですね、歯科業界の中でも『さあやるぞ』という方がまだまだ少ないかなという印象です。

 

訪問歯科診療の『医療』という枠に収まらず、『介護』『福祉』という側面も持っていて、そこは一般の歯科医師にとっては未知の領域であることが多い。

 

そもそも歯科医師の中にはそういった知識を持っている人自体が少ないという状況ですね。

 

 

 

今後、大幅にニーズの増加が予想されるので、訪問診療を始めようという歯科医師が増えてくるとどんどん普及していくと思っています。」

 

 

―訪問歯科診療を始めるに至ったのは、どういった流れなんでしょう?

 

 

丸山「まずは歯科医師として来たるべき超高齢社会において何ができるだろう、より良い歯科医療サービスとは…と考えて出した答えの一つですね。

 

 

  まだまだ日本での認知度は低いのですが、今後、超高齢社会を迎える日本では要介護者の数も増加し、これからもっともっと必要とされていくと思いますので、それを広げていきたいなという風に考えています。

 

 

  それと、現在の日本では歯科医院の数が多く、患者さんの奪い合いのような状況が起きているということです。コンビニの数より多いんです。どの駅前にも何件もの歯科医院が軒を連ねています。どの歯科医院も集患に苦労しており、経営に行き詰まり閉院する所も増えています。

 

  

こういった状況の中でも、それぞれの歯科医師に出来る診療のレパートリーに訪問診療を加えることで、これまで歯科医院に行けなかった人も診療を受けることができるようになる。

 

そうすれば、患者さんの奪い合いのようなことをしなくても、患者さんはそれぞれのニーズに合った医院に自然に分散されるようになります。

 

医院としても、診療の質を上げるということに注力することもできるようになりますからね。そうなると、患者さんに対してより良いサービスを提供できるようになります。」

 

訪問歯科サービスなどを行う丸山デンタルクリニックの院長を務める丸山さん

訪問歯科サービスなどを行う丸山デンタルクリニックの院長を務める丸山さん

 

 

 

―訪問歯科が通常の診療と違う点ってどんなところですか?

 

丸山「わかりやすいところから言うと診療に使う道具でしょうか。

 

よく患者さんに『歯医者さんの訪問診療?あの歯医者の機械、トレーラーか何かで全部持ってくるの?うちの前にはそんな車置けないよ(笑)』と聞かれるようなこともあるんですが、トレーラーとまでは言わなくても、歯を削ったりするわけですから、それなりの大荷物なんです。昔のミシンみたいな大きなケースと海外旅行に行くような大きなトランクケースを持ってご自宅や施設に伺います。その中に診療ができる器具が全て揃っています。

 

ただ、クリニック内とすべて同じものがそろっているわけではないので、必要に応じて、患者さんのご自宅にあるものをお借りして工夫したり、…まるでキャンプ場にいる時のようにアドリブを利かせてやってます(笑)。」

 

―なんだか、患者さんとのやり取りが普通の診療よりも多そうなイメージですね。

 

丸山「まさにそうなんです。さっきのアドリブの話もそうですけど、基本的なコミュニケーション能力がないと、こうしたことも上手くいきません。家族構成や以前されていたお仕事などの患者さんの背景、患者さんが持っているその他の疾患、患者さんの性格、etc…、これらを十分理解したうえで治療を進めないと、患者さんにも我々歯科医療スタッフにも思わぬトラブルが待ち受けていることが多いんです。

 

コミュニケーションの積み重ねの上に信頼関係が成り立つ。これは通常の診療でもそうなんですが、訪問歯科では特に意識していることですね。最初のうちは、コミュニケーションをとることに時間を割いています。ご本人を始め、ご家族、ヘルパーさんやケアマネージャーさん、主治医の先生など周辺の方々と連絡を密にしてなるべく多くの情報収集に努めています。

 

ただ、それぞれの患者さんの背景も踏まえたうえで、一人一人時間をかけて診療する分、やりがいは大きいです。患者さんに喜んでもらえたり、感謝のお言葉をいただけると、本当に嬉しいものです。」

 

 

超高齢社会を迎え、訪問歯科を求める患者も増えてくることが予想されます。

『患者さんにとって理想的な医療を』…その想いを胸に、日進月歩を続ける丸山先生。

その瞳には、熱い炎が静かにゆらめいていました。

 

 

医療法人社団樹正会

丸山デンタルクリニック

住所:〒121-0816 東京都足立区梅島3丁目33−10 西新井Jビル 2F

電話番号:03-3849-0598

 

 

この記事は、2013年12月に行ったインタビューをもとに編集したものです。
本記事に関するご意見・ご感想はこちらまで。
メディウェルギャラクシー編集長 安部 亮多 abe@d-s-p.jp


▲pagetop